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短詩型文学作品(短歌作品・俳句作品)
 
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[季節の俳句]
夏 (初夏/仲夏/晩夏)
 
 
 
立夏かな体操をする遠い人
ネクタイを解くどんたくの遠囃子
厠から九九の聞こえる新樹光
人間の顔になつたる五月かな
空泣きの後の筍ご飯かな
芒種なり父の眼鏡が玄関に
夏の寺風来るまでを立ち話
太りゆく青梅太りゆく時間
夏の坂母が近くにゐるやうな
今朝の薔薇すでに切られてゐたりけり
こつこつと歩く男や六月に
梅雨の眉片方だけが動きけり
風鈴の鳴りはじめたる父の家
まばたきをして夏の山夏の川
雨が来る前の素足を伸ばしけり
夏草や遠く国会議事堂は
蟻つぶす祖父の蔵書を背にしつつ
テーブルに歳月はあり心太
東京のほとりを歩く暑さかな
熱き茶のあとのことばや大西日
 
この作品の作者はすべて吉野裕之です
短歌:近作20首  短歌:季節別作品
俳句:近作20句  俳句:季節別作品│夏│
 
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© 吉野裕之  http://hiro1961.art.coocan.jp/
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