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吉野裕之歌集『Yの森』(カバーデザイン:樋口賢太郎)
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選集『セレクション歌人「吉野裕之集」』(発行:邑書林 装幀:間村俊一 装画:北見隆)
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■歌集『砂丘の魚』のご案内
 

歌集『砂丘の魚』は、2005年から2009年に制作した作品を中心とする374首で構成した一冊。『ざわめく卵』から接続する作品群であり、年齢としては40代半ばから後半のものです。

 
歌集『砂丘の魚』につきましては、著者の手元に在庫があります。メールでお問い合わせください。
 
短詩型は人の痛みや悲しみを掬う/救う器
「いつの間にか冬になった。ここ一年ほど、苦しいことがいくつかあって、それはまだ続いているのだけれど、この間にも、よき歌集、よき句集、そしてよき人やよき場所との出会いはあり、短詩型に関わっていることの喜びを思っている。」
(「あとがき」から)
 
[20首抄]
挿し木して父のことばを待っている四月の庭は広いと思う
日常とまず置いてみるA3のペーパーのうえ夢の中にて
ブラインドに起重機の影が動いている誰に告げればいいのだろうか
とても冷えた酒を注(つ)がれてゆくときを春の野菜が口の中にある
フランスの童子の真似をするんだと襟に小さな木の枝を置く
ぼくの名が調べられたる気配あり砂鉄のような気配とおもう
袖口を水に濡らしてしまうこと雪の日ならばさみしいだろう
比べてもどちらが深いかわからない沼を見ている しずかな朝(あした)
白金を歩いておれば店頭にきれい並んでいるゼラニウム
南からやって来た船大きくて横切ってゆく ゆっくり私
忘れられたくない空の下にあり風に揺れいるきみの下着は
まっ青な空がぼくらの上にあってこの年も会う馬鈴薯の花
六月のカステラの黄のやわらかさ肯うようにフオク刺しいつ
九州島北部に古き大学があり大いなる花を咲かせる
やわらかなあなたの影が立ち上がる素数のような春の日射しに
豚のようにやさしい眼(まなこ)豚のように激しいことば ま向かっている
夕光を抱えて帰る教室に待っている人 父かもしれぬ
モジリアーニの女の頸の背景は明るい茶色だった気がする
麦秋の、その韻きから広がってゆくイメージの 抱(いだ)く時間
ゆっくりとやって来るものおそらくはその名を発語せぬままに待つ
 

吉野裕之歌集『砂丘の魚』(カバーデザイン:樋口賢太郎)

[概要]
発行:沖積舎
〒101-0051 東京都千代田区神田神保町2-10
T:03-6261-1311 F:03-6261-1312
発行日:2015年3月14日
カバーデザイン:樋口賢太郎(すいせい
体裁:A5判184ページ
定価:本体2800円+税
印刷:文昇堂  製本:清水製本
※参考:
「一首鑑賞*日々のクオリア」(2015/4/7)
砂子屋書房のサイト。さいかち真さんが鑑賞をしてくださっています。
「一首鑑賞*日々のクオリア」(2016/10/27)
砂子屋書房のサイト。佐藤弓生さんが鑑賞をしてくださっています。
「橄欖追放のページ」
東郷雄二さんのサイト。東郷雄二さんが一冊をめぐって考察してくださっています。
「阿波野巧也 | note」
阿波野巧也さんが一冊の書評を書いてくださっています。
「波と手紙」
小田桐夕さんが一冊の書評を書いてくださっています。
「食器と食パンとペン」(2017/8/18)
「食器と食パンとペン」(2017/9/24)
安福望さんのブログ。安福望さんが絵を添えてくださっています。

その他に、「東京新聞」15年3月29日の「歌の本」、「読売新聞」15年4年17日朝刊の「四季」(長谷川櫂さん)、同紙15年4年20日朝刊の「枝折」、同紙伊賀版15年6月10日朝刊の「李正子の現代短歌秀歌館」(李正子さん)、「短歌往来」15年7月号(角宮悦子さん)、「熾」15年8月号(斉藤光悦さん)、「星雲」15年9月号(鈴木絢子さん)、「かりん」15年9月号(近藤好廣さん)、「うた新聞」15年9月号(内藤明さん)、「古今」15年10月号(福田龍生さん)、「塔」16年1月号(阿波野巧也さん)などでもご紹介いただきました。ありがとうございました。

歌集『空間和音』:1985年〜1990年(415首)
歌集『博物学者』:1991年〜1995年(411首)
歌集『Yの森』:1996年〜1999年(390首)
歌集『ざわめく卵』:2000年〜2004年(333首)
歌集『砂丘の魚』:2005年〜2009年(374首)
選集『セレクション歌人「吉野裕之集」』:1985年〜2007年(500首)
選集『現代短歌文庫「吉野裕之歌集」』:1985年〜2009年(713首)
※収録作品の制作期間および収録作品数
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© 吉野裕之  http://hiro1961.art.coocan.jp/
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